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選挙運動費用収支報告書を作成する際の注意点|出納責任者の責任・職務とは?

  • 2023.04.18

開票が終わり選挙結果が出ても、選挙が終了したわけではありません。

選挙運動に関する費用の収支報告書を作成し、提出する必要があるのです。

本記事では、選挙運動費用収支報告書を作成する際の注意点についてまとめました。

選挙における金銭的な責任者である「出納責任者」についても解説しますので、確認しておきましょう。

※本記事は、選挙プランナー松田馨氏の著書『地方選挙必勝の手引(増補改訂版)』(2022年9月30日発刊)の内容を、許可を得たうえで使用・引用しております。

選挙運動費用収支報告書の提出は候補者の義務

長い選挙運動を終えても、まだ「選挙」は終わっていません。

ここでは、当選・落選にかかわらず候補者全員に義務付けられている「選挙運動費用収支報告書」について見ていきましょう。

提出期限は「選挙期日から 15 日以内」

候補者はその当選・落選にかかわらず、公職選挙法に定められた通り「選挙の期日から 15 日以内」に、「選挙運動費用収支報告書」を作成し、各選挙区を管理する選挙管理委員会に提出しなければなりません。

投票日(選挙期日)が日曜日の場合は、投票日から2 週間後の月曜日が提出期限です。

選挙後速やかに収支報告書が提出できるよう、選挙期間中から作成の準備を進めるよう心がけてください。

収支報告書の提出後になされた収入や支出については、なされた日から7 日以内に追加分を含めて再提出する必要があります。

月額の電話代や電気代など、まだ支払い金額が確定していない費用がある場合は再提出をしましょう。

手続き上の不明な点については、選挙管理委員会に問い合わせて確認してください。

提出後の流れ

提出された収支報告書は、選挙管理委員会によって審査され、書面上の金額表記に間違いがないか、領収書の写しと記載内容に間違いがないかなど、形式上の記入ミスについて詳細なチェックを受けることになります。

受理された収支報告書は、その日から3年間選挙管理委員会で保存されます。

保存期間内であれば、情報公開請求により誰でも報告書の閲覧が可能です。

もし、公開された収支報告書に内容や金額の矛盾が見つかり、虚偽の記載が疑われるようなことにでもなれば、「選挙違反」という悪いイメージがつけられ、候補者にとっては大きなマイナスとなってしまいます。

収支報告書の違反が認められた場合には、出納責任者には罰則(3 年以上の禁錮または 50 万円以下の罰金)が科されます。

当選・落選にかかわらず、これまで積み上げてきた有権者との信頼関係を台無しにしないためにも、日々のお金の動きに注意しつつ明朗会計に努めてください。

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選挙運動費用収支報告書は「選挙運動の費用」を報告するもの

まず重要なのは、選挙運動費用収支報告書が「選挙運動費用の収支報告書であること」を認識することです。

「選挙運動費用収支報告書」とは、その名の通り「選挙運動」に関する費用を報告するもので、政治活動期間中の後援会活動の費用などは含まれません。

この点を混同されている方も多いのでご注意ください。

政治活動の費用は「政治資金収支報告書」を提出する必要があります。

「政治資金収支報告書」についてはそれぞれ【政治資金収支報告書作成における注意点|提出期限や用紙、保存期間は?】【政治資金収支報告書における収支項目の基準一覧】【政治活動費にあたらない支出とは?政治資金収支報告書の提出に必要な添付書類も解説】で解説します。

「選挙運動費用収支報告書」と「政治資金収支報告書」の相違点を下図にまとめましたので、参考にしてください。 

種類 内容提出時期提出先
選挙運動費用収支報告書候補者の選挙運動に関する費用の報告選挙の期日から15日以内選挙区を管理する選挙管理委員会
政治資金収支報告書後援会・資金管理団体など政治団体の活動に関する費用の報告(前年1月1日から12月31日までの政治活動費用の収支についてまとめたもの)毎年1月4日から3月31日の間管轄の都道府県選挙管理委員会

選挙運動費用の責任を負うのは「出納責任者」

立候補の手続きと同時に、出納責任者の届出をします。

ここでは出納責任者の責任と職務について解説します。

出納責任者の責任

選挙運動費用に関して全面的に責任を負うのは、候補者ではなく「出納責任者」です。

候補者が立候補する際に出納責任者の届出を行うことで、寄附を受けたり支出をしたりすることが可能となります。

出納責任者に特別な資格は必要ありません。

実務的には会計・経理の経験があれば問題ありませんが、大きな金額を預かる立場だけに候補者との信頼関係が最も重要です。

出納責任者には、候補者本人やその家族も就任できます。

しかし、先に述べたように収支報告書の違反が生じた場合、その影響は候補者の政治活動に影響するため、選任に当たっては慎重な判断が必要です。

出納責任者の職務

出納責任者は選挙運動費用をとりまとめ、その全てを収支報告書に計上する役割を果たします。

具体的には次の 6 つの職務があります。

【1.会計帳簿の備付と記載】
出納責任者は、会計帳簿(収入簿・支出簿)を備え、選挙運動における全ての収入(寄附・その他の収入)と支出を会計帳簿に記載しなければなりません。

【2.寄附の明細書の受領】
出納責任者以外の人が選挙運動に関する寄附を受けた場合は、寄附をした人の氏名・住所・職業・寄附の年月日を記載した明細書を出納責任者に提出しなければなりません。
また、立候補届出前に選挙運動に関する寄附を受けた場合も、届出後、直ちに出納責任者に明細書を提出する必要があります。

【3.立候補準備のために要した費用の精算】
出納責任者は、選挙運動用ポスター・選挙運動用通常葉書・選挙公報の作成や、選挙事務所の借り上げなど、立候補準備行為に要した支出について事前に精算しなければなりません。

【4.領収書等の徴収】
出納責任者は、選挙運動に関する全ての支出について、金額・年月日・目的を記載した領収書等の支出を証明する書面を集めて徴収しなければなりません。

【5.選挙運動費用収支報告書の提出】
出納責任者は、選挙運動費用収支報告書を作成し、選挙期日(投票日)から 15 日以内に選挙区を管理する選挙管理委員会に提出しなければなりません。

【6.帳簿及び書面の保存】
出納責任者は、会計帳簿、明細書及び領収書その他の支出を証明する書面を、収支報告書提出の日から3 年間保存しなければなりません。

公職選挙法には選挙の公正を保つために選挙の種別に応じた「法定制限額」が告示されます。

この制限額を超える支出は法定額違反です。

もし法定制限額を超えてしまった場合、出納責任者には罰則(3 年以下の禁錮または 50 万円以下の罰金)が与えられたり、候補者の当選が無効となったりするなど、厳しい制裁を受けることとなります。

法定制限額は、選挙の規模が大きくなるほど大きくなるのが一般的です。

告示日における選挙人名簿登録者数に応じて変動する部分を含むため、告示の当日に確定した法定制限額が選挙管理委員会より通知されます。

出納責任者は選挙運動費用が法定制限額を超えないよう、金銭管理を徹底してください。

とはいえ、実際は支出できるものが限られていますので、制限額を超えることはまずないでしょう。

また出納責任者は会計帳簿を備え、これに選挙運動にかかわる全ての寄附及びその他の収入並びに支出について記載しなければなりません。

収支報告書は会計帳簿の内容をそのまま転記して提出するものですので、正確な帳簿作成ができていれば収支報告書の作成も容易になります。

選挙における会計帳簿は、「借方」「貸方」という概念を用いる複式簿記のように複雑ではありません。

企業の会計とは異なり、選挙公正の原則により資金を公開することが目的なので、基本的には収支のみを帳簿に付ける単式簿記に近い形となります。

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