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会計帳簿に記載する方法とポイント|支出の10費目も詳しく解説

  • 2023.07.24

会計帳簿を正しくつけていれば、選挙運動費用収支報告書の作成も難しいものではありません。

ではどのように会計帳簿をつければ良いのでしょうか。

本記事では、会計帳簿の記載方法について詳しく解説します。

支出の費目分類に頭を悩ませる人も多くいらっしゃいます。

本記事でしっかりと確認し、正しく分類できるようにしておきましょう。

※本記事は、選挙プランナー松田馨氏の著書『地方選挙必勝の手引(増補改訂版)』(2022年9月30日発刊)の内容を、許可を得たうえで使用・引用しております。

会計帳簿は収支報告書の様式に合わせて記載しよう

帳簿の記載様式は、収支報告書の様式に合わせておくと転記の際に手間がかかりません。

収支報告書の様式は、選挙管理委員会から立候補届出時に渡される様式集に含まれていますが、エクセルなどのデータで作成した方が、記入内容の修正も容易になります。

当該選挙管理委員会がデータ版の様式を用意している場合もありますが、ない場合は他の地域の様式を流用して作成することも可能です。

参考までに、東京都選挙管理委員会が用意しているデータ版の「選挙運動費用収支報告書・様式集」をご紹介します。

こちらからご確認ください。

会計帳簿は収入簿と支出簿からなる

会計帳簿は収入簿と支出簿に分けられます。

それぞれについて見ていきましょう。

収入簿に記載する内容とその方法

収入簿には、選挙運動に関わる全ての寄附及びその他の収入を記載しなければなりません。

具体的な記載方法の例は下表の通りです。

❶ 「月日」欄には、実際に収入のあった日を記載します。

❷ 「種別」欄には、「寄附」か「その他の収入」かの区別を記載します。

❸ 寄附を受けた場合は、「寄附をした者」欄に寄附をした者の住所・氏名・職業を記載します。

なお、政治資金規正法により、外国人からの寄附・会社やその他団体などからの寄附は禁止されているため、寄附を受ける際には注意しましょう。

❹ 「金銭以外の寄附及びその他の収入の見積の根拠」欄には、金銭以外の収入を時価に見積もった場合の人や物の数・金額・根拠などを記載します。例えば知人から事務所の無償提供を受けた場合や、労務提供を受けた場合などに記載が必要です。

支出簿に記載する内容とその方法

支出簿には、選挙運動に関わる全ての支出を記載しなければなりません。

支出は「立候補準備のための支出」と「選挙運動のための支出」との2科目に分けた記載が必要です。

支出簿の費目については、次章で紹介する10費目が定められており、各費目ごとに記載をする必要があります。

具体的な記載方法の例は下表の通りです。

❶ 「月日」欄には、実際に支出のあった日を記載します。

❷ 「金額又は見積額」には、金銭の支出を記載します。金銭以外の支出の際は、時価に見積もった金額を記載しましょう。

❸ 「支出を受けた者」欄には、支出を受けた者の住所(主たる事務所の所在地)・氏名(会社名や団体名)・職業を記載します。

❹ 「金銭以外の支出の見積の根拠」欄には、金銭以外の支出を時価に見積もった場合の人や物の数・金額・根拠などを記載します。

❺ 選挙運動に係わる公費負担の対象とされる支出(選挙運動用ポスターなど)については、「備考」欄にその旨を記載します。

支出簿で分類すべき10費目とは

支出簿に記載するときには、支出の目的に応じて上記の10費目に分類する必要があります。

実際の作業では分類の難しい支出もあるでしょう。

ここで説明するそれぞれの費目の違いをしっかりと把握し、日々溜まり続ける領収書類を迅速に処理するようにしましょう。

1)人件費

人件費は、選挙運動のために使用する労務者・事務員・車上運動員・手話通訳者及び要約筆記者に対する報酬です。

労務者の届出は不要ですが、事務員・車上運動員・手話通訳者及び要約筆記者に報酬を払う際は、事前に選挙管理委員会へ届出をする必要があります。

また、選挙後の残務整理のために使用した人件費は選挙運動費用とは認められないため、記載の必要はありません。

2)家屋費

家屋費とは選挙費事務所や集合会場の借上料のことです。

【選挙事務所費】

選挙事務所費の中には、以下のようなものが含まれます。

  • 事務所自体の借上料
  • 机などの備品の借上料
  • 電話やインターネット回線の架設費
  • 事務所の補修工事代
  • テレビ・ラジオなどの購入費

なお、事務所が無償提供された場合は、近隣地域の家賃相場に合わせて時価に相当する額を見積もり、寄附と支出の両方に計上する必要があります。

候補者が自宅を選挙事務所として使用した場合は、時価に見積もって計上する必要はないとされています。

【集合会場費】

集合会場費とは、主に個人演説会場の借上料のことです。

会場が公営施設の場合、同一施設につき1回までは無料とされています。

ただし2回目以降の使用料や、公営施設以外の施設などは集合会場費として計上しなければなりません。

また、施設利用料と合わせてマイク・プロジェクター・机・イスなどの会場備品類の使用料が発生する場合には、これらも含めて計上する必要があります。

3)通信費

通信費とは、電話・インターネット通信・事務連絡のための電報や郵便などに要する費用のことです。

回線架設費自体は「家屋費」の「選挙事務所費」に計上しますが、電話機器やインターネット機器自体の借上料や通話料、通信費はこの「通信費」に計上する必要があります。

4)交通費

交通費とは、選挙運動員・労務者の交通費の実費弁償のことです。

仮に友人らが無料で乗物に乗せてくれた場合は、交通費の相当額を算出し、寄附及び支出として計上する必要があります。

一方で、候補者が常用する自動車やその他の交通費は、選挙運動費用とはみなされないため計上しません。

選挙運動用自動車の借上料・ガソリン代・修繕代・運転手の日当についても同様に計上する必要はありません。

選挙運動用自動車に取り付ける看板などは別途「広告費」に分類して計上します。

5)印刷費

印刷費とは、主に選挙運動用ポスター・選挙運動用はがき・選挙運動用ビラを印刷するための費用を指します。

ポスター及びビラの印刷費が、公費負担とされている場合でも相当額を計上し、備考欄に「公費負担」と記入します。

この場合、収支報告書へ転記の際、領収書などを徴し難い事情があった支出の明細書にも記載してください。

6)広告費

広告費とは、主に選挙事務所や選挙運動用自動車の立札・看板・ちょうちん・たすき・拡声器などの費用を指します。

候補者が行う選挙に関する新聞広告の費用も「広告費」として計上します。

7)文具費

文具費とは、選挙運動のために使用した消耗品類の費用です。

具体的には、紙・ペン・地図・ノート・テープ・はさみなどの事務用品代に加え、コピー代なども含まれます。

8)食糧費

食糧費とは、選挙運動員及び労務者に対し選挙事務所で提供する弁当代や、湯茶及びこれにともない通常用いられる程度のお茶菓子代を指します。

選挙運動員への報酬や食事は買収?原則と例外を知って正しく活動しよう」に詳細をまとめていますのでご確認ください。

なお、候補者及び運動員の日常生活における飲食代は選挙運動費用として計上する必要はありません。

9)休泊費

休泊費とは、休憩及び宿泊に要した費用のことです。

通常、選挙運動員らの宿泊費は一夜につき1人当たり1万2,000円(食事料2食分を含む)、労務者は一夜につき1人当たり1万円(食事料含まず)を上限として制限されています。

なお、候補者の宿泊費に上限はありません。

選挙区内を転々としながら選挙運動を行う場合、候補者の宿泊費は選挙運動費用として認められます。

10)雑費

上記1〜9までの費目にいずれも該当しないものを「雑費」として計上します。

例えば、事務所の光熱水道費やガス代、新聞代やクリーニング代などです。

分類の判断に困る支出についても「雑費」に分類して計上することがよく見られます。

必ず全ての支出について計上してください。

大抵の場合、通信費や雑費には請求金額の確定に1ヶ月以上かかるものがあるため、金額が確定した時点で再提出を行うことになります。

選挙運動費用とみなされない支出

逆に「選挙運動に関する支出」とみなされないものがいくつかあります。

支出の統制や集計が困難なため、会計帳簿や収支報告書に記載しないで良いものです。

これらを支出として計上していないか、今一度チェックしてください。

  • 候補者または出納責任者と意思を通じてした支出以外のもの:そもそも候補者または出納責任者が全く関知しない支出
  • 候補者にかかわるいくつかの支出:交通費・食費・自宅を選挙事務所にする場合の事務所費など
  • その他の支出:選挙後の残務整理の費用・選挙運動に関する国または自治体の租税または手数料

選挙運動用自動車の費用についても、公費負担分も含めて支出として計上する必要はありません。

また、確認団体となった政党その他の政治団体の選挙運動のための費用についても、「選挙運動に関する支出」とはみなされないため、これらの費用は「政治資金収支報告書」に計上することになります。

支出簿を作成する際のポイント

支出簿を作成する一連の作業で一番頭を使うのは、おそらく支出を10費目に分類する作業でしょう。

明確に分類できるよう、一つひとつの支出の目的をよく考えながら作業してみてください。

費目ごとに領収書などを整理しておけば、収支報告書の作成も容易となります。

また、選挙運動費用の支出とみなされるかどうかを判断することも重要なポイントです。

政治活動期間中に後援団体が発行した入会案内のリーフレットや政策ビラなどの PRグッズの費用は、選挙運動費用には該当しません。

政治団体の政治資金収支報告書に計上しましょう。

会計事務の担当者は、候補者に関連する選挙運動費用の領収書と、後援団体の政治活動費用の領収書が混ざらないよう、十分注意する必要があります。

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