政治家インタビュー

336票差!全部やり切った選挙戦におけるYouTube広告の役割とは?

衆議院議員 高松さとしさん

衆議院議員
高松さとしさん

編集部:

ネット広告(バナー広告&YouTube広告)を積極的に使おうと思ったきっかけを教えてください。

高松氏:

YouTube広告を出すことで、これまで接点がなかった若年層や、30 ~ 40代女性層の方々にアプローチしたいと考えたからです。
 
当初、YouTubeは政策を伝える手段として使うつもりでしたが、2024年の都知事選で石丸さんが30秒の広告動画を配信し、大きな反響を得ているのを見て、これが最も迅速かつ効果的な方法だと感じました。
 
私が立候補した東京28区は、新設された選挙区であったため、従来の駅での街頭活動に加え、私を知ってもらうためにもYouTubeを活用するのが最適だと考えました。

編集部:

YouTube広告を活用するまでは、どのような施策を実施されてましたか?

高松氏:

従来手法の選挙活動は全て行っています。
 
例えば新聞折り込みやポスティングでビラを届けたり、選挙区内の駅で毎朝、街頭演説を行ったり、週末には街宣車で遊説したり、集会を開く、支部内の都議会議員や区議会議員と連携するなど、地道に活動を続けてきました。

編集部:

広告を導入する決め手は?

高松氏:

「選挙において、アナログとネットの風向きが変わったな」と感じたのは、石丸さんが都知事選でYouTubeを活用して躍進した時からです。
 
たった30秒の短い動画でも、伝わる情報量は多く、内容の質も高いと感じました。

編集部:

実際に選挙ドットコムの広告を取り入れて、どんな変化を感じましたか?

高松氏:

驚いたのは、街なかで10代の方から「YouTubeで見ました」と声をかけてもらえるようになったことです。
 
これまでのアナログな政治活動では届きにくかった10 ~ 20代の若年層の男性や、30 ~ 40代の女性など、アプローチできていなかった方々との接点が増えたことで、YouTube広告の効果を実感しました。
 
さらに意外だったのは、50 ~ 60代の男女からも反応があったことです。
 
YouTubeは若者向けのメディアだと考えていましたが、幅広い世代にアプローチできたことは想定外の収穫でした。
 
また、従来の街頭演説ではどれだけの人に話が届いたかが把握しづらいのですが、YouTube広告は視聴回数などのデータが見えるので非常にありがたいと感じました。

編集部:

選挙戦は336票差と、大接戦だった中で、どのような活動をされていたのでしょうか?

高松氏:

選挙戦は12日間ありましたが、初日の出陣式時点では到底勝てる選挙ではない、という認識でした。
 
5野党がバラバラで、自民党が頭一つ抜けており、通常では自公に勝てない選挙だったと思います。
 
実際、序盤の3日目くらいまでは全く手応えがありませんでした。
 
しかし、4 ~ 6日目くらいになると、自民党との一騎打ちになってきた感覚があり、6日目の朝日新聞の情勢調査では「ほぼ互角」という結果に。
 
選挙全体の流れを見ると、自民党が「2000万円問題」で中盤から失速する一方、私の選挙区では「YouTube見たよ!」とお声がけをいただくようになるなど、中盤から後半にかけて陣営が盛り上がりを見せました。
 
当初、多くの人が「高松はこの選挙で負けるだろう」と思っていた中、善戦する様子が伝わるにつれ、周囲の応援の輪が広がっていきました。
 
そして最終日には自民党と肩を並べるところまで来たという感覚があり、336票差で選挙を制することができたのです。
 
「やれることは全てやりきった」という達成感があります。
 
この僅差の勝利は、全国289選挙区の中でベスト4に入る接戦でした。YouTubeなくしては、この結果は得られなかったと思います。
 
小選挙区と比例区の票を分析してみると、自民党の場合、自公の比例票を足しても小選挙区の票に追いついていないのに対し、私の場合は立憲民主党の比例区の票にさらに2万票ほど上積みがありました。
 
つまり、比例では他党に票を入れたけれど、小選挙区では私に投票してくださった方がかなりいらっしゃったということです。
 
これは、ネット広告によって認知を広げた効果が大きかったと考えています。

編集部:

広告のターゲットはどの層に絞られていましたか?

高松氏:

広告を配信する地域だけを絞り、世代や性別では細かくセグメントをかけませんでした。
 
その結果、想定外に幅広い層に広告を見てもらえたので、「30~40代女性のみ」などと絞り込まなかったのは正解だったと思います。

編集部:

動画を制作する上でどのような工夫をされましたか?

高松氏:

出馬した東京28区では、候補者の中で私が唯一の練馬出身者であったため、その点を強調しました。
 
また、練馬のランドマークで撮影を行うなど、据え置き型のテレビでYouTubeを視聴する方々も意識しています。
 
親しみやすさを重視するため、手作り感のある素朴な動画に仕上げたこともポイントです。

編集部:

なぜ今回選挙ドットコムに広告を依頼されたのですか?

高松氏:

選挙ドットコムさんはネット広告の先駆者であり、数多くのセミナーを開催するなど信頼できる存在だったからです。
 
また、過去に江東選挙区でネット広告を用いて選挙違反になった事例もあったため、しっかりとしたレギュレーションがあることも重視しました。
 
実際、私が作成したシナリオも、担当の方から表現のアドバイスをいただき、修正しています。
 
デジタルメディアは後々まで記録が残るため、トラブルを未然に防ぐ形で進められたのは非常に助かりました。

2024.12.24 取材