告示日まで残り2ヶ月くらいになったら、選挙運動の準備をはじめます。
選挙運動の準備は多岐にわたりますが、本記事では「立候補予定者説明会」と「事前審査」、「選挙事務所の設置」にフォーカスして解説していきます。
締切が決められている事柄などもありますので、あらかじめ十分に確認し適切に準備することが大切です。
選挙運動の準備としてまず何をすべきか知りたい方は、本記事をご確認ください。
※本記事は、選挙プランナー松田馨氏の著書『地方選挙必勝の手引(増補改訂版)』(2022年9月30日発刊)の内容を、許可を得たうえで使用・引用しております。
選挙運動の準備は告示日の2ヶ月前からスタート
告示日の2ヶ月ほど前からは選挙運動の準備を進めます。
具体的には以下のようなことです。
- 選挙運動用自動車(選挙カー)の借り入れについての内交渉
- 選挙期間中に活用するPRグッズ(選挙運動用ポスター・選挙運動用ビラ・選挙運動用はがきなど)の作成
- 選挙期間中に手伝ってもらう車上運動員や事務員、労務者たちの雇い入れについての内交渉
次章からは選挙運動の準備のうち、以下の3点について解説します。
- 立候補予定者説明会
- 事前審査
- 選挙事務所の設置
【準備①】立候補予定者説明会に出席する
告示日の約1ヶ月〜2ヶ月前には、選挙管理委員会が主催する立候補予定者説明会が開かれます。
立候補予定者説明会には1候補者につき2名まで参加できますので、初めて選挙に立候補される方は本人も必ず出席しましょう。
立候補予定者説明会では、立候補の届出に必要な書類や事前審査などの説明があります。
届出書類や候補者のしおりは基本的に2部ずつもらえますが、紛失しないようきちんと管理してください。
【準備②】事前審査を受ける
告示日当日の8:30〜17:00までの間に立候補の届出を完了すると、正式に立候補者として選挙運動を行えるようになります。
もし書類の不備などにより時間内に立候補の届出が受理されなかった場合は、選挙に立候補することができません。
そのようなことにならないよう、選挙管理委員会では「事前審査」といった形で事前に立候補の届出書類を審査する制度があります。
告示日より前にすべての書類のチェックをし、その場でチェックが終わった書類は選挙管理委員会が封をします。
つまり告示日当日には、すでに事前審査の終わった書類を持って行くだけで手続きが終わるのです。
事前審査については、告示日の前日までに終了していれば問題はありません。
選挙管理委員会によっては早め早めの締め切り日を設定してくる場合もありますが、自分たちの活動の都合に合わせて予定を調整しましょう。
また、事前審査がすべて完了していないからといって、告示日当日に立候補できないわけでもありません。
その場合は当日に審査を受けて、書類に問題がなければ立候補できます。
一番の注意点は「供託金」です。
立候補にあたって必要な供託証明書がなければ立候補できません。
また選挙期間中に配布をするため、選挙公報についても事前審査の段階で提出を求められることが多くなっています。
選挙公報は提出締め切りを守らなければ掲載されない場合もあるため、もし間に合わなければ選挙戦において大きなマイナスになってしまいます。
供託金の供託と選挙公報の提出については、締め切りを守って早めに準備しておきましょう。
【準備③】選挙事務所を設置する
選挙期間中の拠点となる「選挙事務所」を設置するメリットは、以下のとおりです。
- お手伝いいただける方に集まってもらいやすい
- 大型の看板(最大で3.5m×1m)に顔と名前を大きく記載できる
一方で、以下の点には注意が必要です。
- 物件を探すことに手間と時間を取られる
- 事務所として機能させるためには、什器のレンタルや電話線の開通工事などに費用がかかる
選挙事務所を設置する際には、こうした点も頭に入れておきましょう。
選挙事務所を設置する3つの方法
選挙事務所を設置する方法には3つあります。
【❶ 後援会事務所と選挙事務所の両方を設置する】
この方法では、告示日の3ヶ月前を目安に、政治活動期間の拠点として比較的小さな物件を借り、地元の方や後援会の方に集まっていただける「後援会事務所」を設置します。
次に告示日の1ヶ月前を目安に、選挙運動期間にだけ使用する「選挙事務所」として、看板の設置が可能で駐車場もある比較的大きな物件を借りたり、空き地にプレハブを建設したりします。
選挙後の片付けも見越して、投票日から1週間後程度まで借りるのが一般的です。
【❷ 後援会事務所と選挙事務所を兼用する】
この方法では、告示日の1ヶ月前を目安に比較的大きな物件を借り、その場所を告示日までは政治活動用の後援会事務所として使用し、選挙運動期間は選挙事務所として使用します。
【❸ 自宅を選挙事務所にする】
最も費用を抑えられるのが、自宅を選挙事務所にする方法です。
公職選挙法上、自宅を選挙事務所とすることに制限はありませんが、賃貸の場合は契約内容によって選挙事務所の看板を設置できない場合があります。
あらかじめ管理会社に確認しましょう。
選挙事務所用の物件を探すポイント
「後援会事務所と選挙事務所の両方を設置する」もしくは「後援会事務所と選挙事務所を兼用する」のいずれかの方針を取る方は、以下のポイントを意識して物件を探しましょう。
- 地盤とする地域内か
- 支持者と候補者にとってアクセスの良い場所か
- 人通りや車通りを考えて、目立つ場所に看板は設置できるか
- 都市部の場合は、駅やバスなど公共交通のアクセスは良いか
- 郡部の場合は、駐車場に十分なスペースを確保できるか
- トイレは綺麗か、男女別で使用できるか
- 投票所から300m以上離れているか
事務所とあわせて、選挙カーの駐車スペースについても確保しなければなりません。
選挙カーについては、スピーカーの盗難やいたずらをされる可能性もありますので、防犯カメラなどのある駐車場を別で借りることをおすすめします。
また、予算との兼ね合いもあると思いますが、トイレはできるだけ綺麗で男女別になっている物件を探しましょう。
トイレが綺麗だとお店の印象が良くなるという調査結果もあります。
トイレの綺麗さは、支援者の足を遠ざけないために重要なポイントでもあるのです。
また、投票日当日は原則として選挙運動が禁止されています。
そのため「投票所を設けた場所」から直線距離で300m以内の区域に選挙事務所がある場合は、閉鎖しなければならないと決められています。
閉鎖といっても、選挙事務所の看板を隠せば良く、事務所として人が集まることは問題ありません。
選挙事務所の間取りと内装
広さや物件によって工夫しなければならないケースもありますが、選挙事務所には一般的に以下のものが必要です。
基本となるスペース |
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広さがあれば用意するスペース |
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各スペースを以下のように用意できると良いでしょう。
選挙事務所内には室内ポスターや為書き、推薦状を貼るなどして内装を整えましょう。
最近は、為書きをあまり目立たないように天井に貼り、壁には寄せ書きや候補者の活動写真などを貼って、新しい雰囲気をつくる方もいらっしゃいます。
また、保守系の方は神棚を設置するのが一般的です。
執務スペースなどの机には、必ず鍵がかかるものを用意しましょう。
過去には選挙事務所で盗難事件があった例もありますので、現金はできるだけ置かないようにして、書類(特に個人情報の書かれた名簿や届出書類)やコンピューターの管理を徹底してください。
事務所開き
「後援会事務所と選挙事務所の両方を設置する」もしくは「後援会事務所と選挙事務所を兼用する」のいずれかの方針を取る方は、「事務所開き」を行いましょう。
これは、活動の拠点ができることをこれまでの支持者の方にお知らせするためです。
事務所開きの際は後援会名簿を中心に、地元の方々や推薦団体、企業の方々にご参加のお願いを送ります。
一般的な事務所開きの案内と式次第は次の通りです。
ご来賓のあいさつについては、順番にも気をつけましょう。
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