選挙期間中に有権者へ郵送ができる唯一の印刷物が「選挙はがき(選挙運動用通常葉書)」です。
選挙期間中は有権者の関心が高まっている時期なので、選挙はがきで効果的にアピールできると選挙に有利に働く可能性があります。
そこで本記事では、「選挙はがき」の作成ポイントや発送時期、差出方法などを解説します。
宛名書きの方法や宛名書きを始める時期についてもお伝えしますので、参考にしていただけますと幸いです。
※本記事は、選挙プランナー松田馨氏の著書『地方選挙必勝の手引(増補改訂版)』(2022年9月30日発刊)の内容を、許可を得たうえで使用・引用しております。
選挙はがきは「選挙期間中に有権者へ郵送ができる唯一の印刷物」
有権者の関心が高まっている選挙期間中に、公費で選挙はがき(選挙運動用通常葉書)を郵送できます。
選挙期間中に、有権者へ郵送ができる唯一の印刷物になりますので、記載内容とあわせて発送時期についてもよく検討しましょう。
推薦人欄をつくって推薦者の名前と推薦文を書くのが一般的であることから「推薦はがき」と呼ばれたり、郵送費が公費でまかなわれることから「公選はがき」とも呼ばれたりすることもあります。
推薦者の名前を入れる理由は、投票先が決まっていない人にとっては、知人友人から頼まれることで得票へ後押しの効果があるからです。
とはいえ、必須記載事項というわけではありません。
推薦人を用意するのが難しい場合は、純粋に候補者のアピール用DM(ダイレクトメール)のつもりでデザインしましょう。
選挙はがきを作成するポイント

❶ 郵便局が選挙用の表示を行うため、3.5cm×7cmのスペースを空け、何も記載しないようにしましょう。
❷「 郵便はがき」または「POSTCARD」の記載と、郵便番号枠及びハイフンは朱色か金赤色で印刷します。
❸ 宛名書き用のスペースを用意します。
手書きする場合は、◯◯市など共通の住所をあらかじめ記載し、下線も印刷すると書きやすいでしょう。
タックシールやプリンターで直接印刷をする場合は何も記載しない方が作業が容易になります。
なお、「◯◯会社御中」など企業や団体を宛名にすることはできませんので注意しましょう。
一世帯に対して「ご家族ご一同様」などと記載することは問題ありません。
❹ 推薦人が名前やメッセージを記入するスペースを用意しましょう。
※推薦人は必須ではありませんので、スペースをつくらなくても郵送可能です。
❺ プロフィールを記載します。
❻ 選挙の投開票日を記載します。
❼ 事務所の連絡先、SNSアカウントの情報、QRコードなども記載しましょう。
❽ どの選挙の候補者であるかがわかるように記載します。
❾ 政党の公認や推薦があればハッキリと記載しておきましょう。
❿ 政治活動期間で使用してきた写真を大きく掲載します。
⓫ 名前も大きく記載しましょう。
⓬ 投函時期にもよるが、早めに発送する場合には、期日前投票のお知らせも必ず記載しておきます。
⓭ 政治活動期間で使用してきたキャッチフレーズを記載します。
もしくは、顔写真と名前の面積を小さくして、メッセージや政策を記載するのも良いでしょう。
選挙はがきについての詳細
選挙はがきを郵送できる枚数は以下の通りです。
町村 | 東京都特別区 | 一般市 | 政令指定都市 | 都道府県 | |
議会選挙 | 800枚 | 2,000枚 | 2,000枚 | 4,000枚 | 8,000枚 |
首長選挙 | 2,500枚 | 8,000枚 | 8,000枚 | 35,000枚 | 35,000枚〜 都道府県内の衆議院小選挙区の数に応じて増加 |
選挙はがきには、枚数以外にも細かい規定があります。
以下の表にまとめましたのでご確認ください。
枚数 |
|
規格 |
|
記載内容 |
|
差出方法 |
|
禁止事項 |
|
備考 |
|
宛名はどうする?宛名書きの時期や方法
はがきを郵送するためには、宛名が必要です。
ここからは宛名書きの時期や方法などについて解説します。
宛名書きは告示日前から可能
選挙はがきの宛名を書く作業については、告示前でも行うことができます。
告示日からしか宛名書きができないと、数千枚のはがきの宛名を数日で書かなければいけなくなり現実的ではありません。
そうしたことから、選挙運動の準備行為として「選挙はがきの宛名書き」や付随して「推薦人になるよう依頼すること」は認められています。
告示日前日には法定枚数のはがきが揃うように準備しましょう。
ただし、事前運動の禁止に抵触しないよう注意が必要です。
例えば告示日の3ヶ月前から選挙はがきの宛名書きの依頼をするのは、いくら事前準備が必要としても不自然です。
また、不特定多数への依頼も選挙運動の準備行為に名を借りた事前運動として違反に問われる可能性もあります。
郵送可能な枚数にもよりますので明確な基準はありませんが、1ヶ月前程度を目安に後援会役員など特定少数を対象に依頼するようにしましょう。
宛名書きの3つの方法とその印象
手書きがより丁寧だと言われますが、最近ははがきに直接宛名を印刷するのが主流です。
地域にもよりますが、無理して手書きにこだわる必要はないと思います。
私の経験では、タックシールはDMのイメージもあるためか、あまり印象が良くないようです。
支援者の皆さんにも相談してみましょう。
推薦人欄がある場合は、名前やメッセージは手書きしていただいた方が印象は良いと思います。
名簿が足りない時はどうする?
名簿が足りない時の奥の手が「選挙人名簿抄本の閲覧制度」を活用することです。
選挙人名簿とは、その地域で行われる選挙で実際に投票が行える人※のことであり、選挙管理委員会が管理しています。
※:正確には「その市区町村に住所を持つ年齢満18歳以上の日本国民で、その住民票がつくられた日(他の市区町村からの転入者は転入届をした日)から引き続き3ヶ月以上、その市区町村の住民基本台帳に記録されている人」を指す。
選挙人名簿は「公職の候補者等、政党その他の政治団体が、政治活動(選挙運動を含む)を行うために閲覧する場合」には、閲覧が認められています。
閲覧にあたっては、選挙管理委員会に対しての手続きが必要です。
閲覧の希望を伝えて手続きについて確認しましょう。
閲覧の日時や当日必要な書類等についても指定されます。
閲覧の際は、名簿のコピーやカメラでの撮影は罰則をもって禁止されていますので、決してしないでください。
ただし、手書きで書き写すことは認められていますので、ノートやトレーシングペーパー等を持ち込んで必要な分を書き写しましょう。
なお、選挙人名簿は、選挙期日の公示または告示の日から選挙期日の 5 日後までの間は原則として閲覧できません。
どうしても短期間で大量のはがきを郵送しなければならない場合は、ネットで販売されている電話帳のデータを購入するという手段もあります。
最近は電話帳に登録する人は減っており、また古い住所が更新されていない場合は「宛所不明」で返ってくるものもあるため、あまりおすすめはできませんが、郵送できないよりはいくらかマシと言えるでしょう。
LINE公式アカウントへ特別にご招待【政治家・立候補予定者限定】
私たち、選挙ドットコムは日本最大級の選挙・政治家情報サイトとして、日本全国各地の選挙の最新情報を常に収集・分析しており、最新のネット選挙に関するノウハウや情報を蓄積しております。
この記事をお読みいただいた、現職の政治家の方、新人や元職の立候補予定者の方々限定で、選挙や政治活動の実戦的なノウハウや最新ネット選挙のデータをご共有させていただくために、LINE公式アカウントを開設いたしました。
選挙ドットコムは政治系のネット広告の運用実績も累計1,000件以上と日本最大級であり、万全な公職選挙法審査体制を有しております。公選法違反を防ぐための情報もLINEで発信していきたいと考えております。
ぜひ、LINE公式アカウントに登録いただきたいです。

今後とも選挙ドットコムとボネクタをよろしくお願いいたします。