選挙必勝バイブル

政治家の仕事や職責の範囲とは

政治家にしかできない仕事は何でしょうか ?
大きく分けて2つあるといわれています。少し考えてみてください。

例えば「地域の活性化」といっても、NPO やNGO、商工会やJC、自治会活動など様々なアプローチがあると思います。
「利害の調整」は政治の本質のひとつではありますが、私たちの普段の生活においても利害の調整はおこなわれています。
改めて、政治家にしかできない仕事を考えてみると、色々な発見があるのではないでしょうか。

※本記事は、選挙プランナー松田馨氏の著書『地方選挙必勝の手引(増補改訂版)』(2022年9月30日発刊)の内容を、許可を得たうえで使用・引用しております。

政治家にしかできない2つの仕事

政治家にしかできない仕事は、大きく分けて以下の2つです。

  1. 私たちが納めている税金の使い道や優先順位を決める
  2. 社会のルール(憲法・法律・条例)を決める 

住民から集めた税金を何に、どのように使うのか、そしてその地域独自のルールを作ることも変更することもできる。
これらが、政治家にしかできない仕事だといわれています。
そして一口に政治家といっても、

  • 国会議員
  • 地方議員
  • 自治体の長(首長)

とで、それぞれに求められる能力も、権限の範囲も、役割も異なります。

単純なヒエラルキーがあって、国会議員の方が地方議員よりもランクが上、というものではありません。以下の表に、「国会議員」「地方自治体の首長や議員」が担う主な仕事の例や役割をまとめましたので、参考にしてみてください。

国会議員国家の外交、安全保障、教育、経済、国家財政、年金などをはじめとする「社会保障」といった分野を担う
地方自治体の首長や議員自治体の条例の制定、道路整備や信号機の設置など、その地域独自の課題の解決や発展に関する政策を決めて実行する

地方議会と首長は、それぞれ別の機能を持つ機関

知事や市長などの首長は、自治体の予算をどのように使っていくかの予算案を考え、議会に提案し、行政職員を率いてそれを実行に移すのが主な仕事です。
首長一人に大きな権限を任せていると、独りよがりになって暴走してしまうかもしれません。

そこで地方公共団体は、首長の案が地域住民の暮らしにとって本当に有益なものかどうかを話し合い、執行に移していいかどうかの判断を下す「議決機関」を設けています。
これが都道府県議会議員や市区町村議会議員によって構成される「地方議会」です。
「地方議会のリーダーが首長である」と勘違いされやすいのですが、2つはあくまで別の機能を持つ機関です。

首長議会に対し議決を拒否し、再議を要求する権利を持つ
地方議会首長に対し、不信任の議決を出せる

首長と地方議員は、お互いに独立・対等の関係であり、緊張関係を保ちながら協力して自治体運営にあたる責任があります。

地方政治で重要な「二元代表制」

自治体の住民は、議会(議決機関)のメンバーである「議員」と、行政(執行機関)のリーダーである「首長」の両方を選挙で選べます。

そして、この仕組みを「二元代表制」といいます。

「そんな当たり前のこと、わかっているよ」と思う方がいるかもしれません。
しかし、これまで私が面談した新人の方のうち、こうした役割の違いや二元代表制について正しく理解されている方は残念ながら半数程度です。
実際の選挙でも、地方議会議員選挙で「消費増税の廃止」や「後期高齢者医療制度の廃止」など、まったく権限外のことを主張している方が少なからずおられます。

「二元代表制」は地方政治において大変重要な仕組みですが、住民にはほとんど知られていません。
例えば、小金井市議会が2012年に行った住民意向調査(市議会についての無作為抽出アンケート)の結果によると、二元代表制について知っている人はわずか11.5% でした。
次の表は、各選挙ごとの期間や選挙区、年齢や居住実態などの立候補要件、供託金についてまとめたものです。

上表のように各選挙に応じて条件が異なるのも、それぞれの政治家に求められる能力や職責が異なるからです。

例えば、18歳選挙権の解禁にともない、

  • 18歳成人
  • 被選挙権年齢の引き下げ

なども議論されていますが、現状では都道府県知事や参議院議員は30歳にならないと立候補できません。

また地方議会議員選挙では、立候補要件として3ヵ月以上の「居住実態」が求められます。
この「居住実態」は、単に家を借りて住民票を移していただけでは認められません。実際に生活の拠点として、その家で生活をしていたのかが問われます。
なぜこのような規定があるのかというと、地方議会が住民を代表する機関であり、議員は住民の代表として選ばれているからです。

選挙への立候補にはリスクがともなう

もし、あなたがその地域の課題を解決したいと考えたときに、本当に政治家にならなければ、市議会議員にならなければ、市長にならなければ解決できないことなのか、よく考えてみてください。

政治家という仕事は、決して楽にお金が稼げる仕事ではありません。

立候補にリスクがあり、政治活動と選挙運動にはお金も労力もかかり、当選後は公人としてプライバシーもなくなります。
それでも本当に政治家を目指すのかどうか、今回解説した「政治家の仕事や職責の範囲」についても理解したうえで、今一度自問自答してほしいと思います。
なお、選挙へ立候補するリスクに関しては、次の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

内部リンク:選挙の現実とは?有権者が投票する基準や立候補のリスクを解説



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