選挙必勝バイブル

選挙戦を闘い抜く10のポイント|立候補を表明する前に確認すべきこととは

選挙の「当選」は政治家にとってゴールではなく通過点です。政治家にとってもっとも重要なのは、当選後に「何を実現するのか」ということでしょう。とはいえ、政治家としてスタートするには選挙戦を闘い、当選しなければなりません。

この記事では、選挙を闘う上で必要な10 項目をお伝えします。考えがうまくまとまらない項目は箇条書きでもかまいませんので、実際に項目ごとに書き出してみましょう。書き出した内容を見ながら、選挙を闘うための準備ができているのかを確認してみてください。

1.【動機】なぜ立候補するのか

有権者がもっとも知りたいのは、政治家を志す動機です。動機の説得力や想いの熱によって有権者から支持を得られるかどうかが決まるといっても過言ではありません。

以下の項目について、できるだけくわしく書き出してみてください。

  • 政治家という仕事を意識したきっかけ
  • なぜほかの手段ではなく政治家という仕事を選ぼうとするのか
  • なぜ国会議員ではなく地方議員・首長なのか
  • なぜその地域で政治家になりたいのか

この内容をもとに、決意文をまとめましょう。

2.【ビジョン】実現したい政策や政治・解決したい課題は何か

次に、選挙に当選した後に実現したいことや解決したい課題について、できるだけくわしく書き出してみましょう。

  • 認識している課題は何か
  • その課題に対して自治体はどのような取り組みをしているのか
  • その課題に対してどのような解決策が適当だと考えているのか

これらの項目は、基本政策やキャッチフレーズを考えていくうえで必要になります。

政策を考えるには、立候補予定の自治体にどのような課題があるのか、現在どのような施策を実行しているのかをできるだけ正確に把握することが必要です。
自治体のホームページにある「総合計画」や「会議録」などに目を通したり、議会の傍聴に出向いたりすると参考になるでしょう。また、ほかの自治体で同様の課題に取り組んだ例がないかを調べるのも有効です。

3.【プロフィール】これまでの人生を振り返ってまとめよう

有権者への認知・支持を広げていくためには、候補者の「人となり」を知ってもらう必要があります。これまでの人生を振り返り以下のような項目で、「どのようなことにやりがいを感じたのか」や「失敗から学んだこと」を書き出してみましょう。

  • 部活動・生徒会活動など学生時代の経験
  • 仕事
  • 震災ボランティア・自治会・PTA 活動など

また、選挙には「共通項探し」という側面があります。初対面の人と出身地や出身大学、趣味が同じことなどで意気投合したり、距離が縮まったりした経験がある人は多いのではないでしょうか。

有権者に少しでも親しみをもってもらうには、趣味やペット、好きな食べ物など身近な話題が効果的です。共感してもらえやすいので、ぜひ書き出してみましょう。

選挙区が地元であれば生まれた地域や通った幼稚園、小学校、中学校なども忘れずに書き出すのがポイントです。具体的には以下のような項目について考えてみましょう。

  • 出身地域
  • 通っていた保育園〜大学など
  • 結婚してからのこと
  • 子どもが産まれてからのこと
  • 両親の介護のこと
  • これまで打ち込んできた趣味・スポーツ
  • 好きな食べ物・書籍・音楽
  • 飼っているペット

【動機】と【ビジョン】の項目で書き出した内容との関連を意識しておくと、プロフィールをまとめる際に役に立ちます。

4.【家族の説得】配偶者・両親・きょうだい・子どもたちをまず説得しよう

選挙戦を闘うには、家族の理解と応援が非常に重要です。選挙への立候補は、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかります。出馬表明をしてからは「敷居を跨げば七人の敵あり」という状態で、外では一切気が抜けないのが現実です。

もし家族を説得できないまま選挙戦に突入すると、「家族も説得できない人間が有権者を説得できるのか」と批判されるケースもあります。「家族だからこそ説得が難しい」という場合もありますが、家族の理解を得るための努力は必要でしょう。

とはいえ選挙の立候補には大きなリスクが伴うことから、家族が不安に思い、立候補に反対するケースもあります。

そのような場合、何よりも大切なのは「政治家になりたい」という熱意を伝えることです。なぜ政治家になりたいのか、政治家になってどのような政策を実現していきたいのかについて、真剣に伝えましょう。【動機】と【ビジョン】でまとめたことを、家族に伝わりやすい言葉で丁寧に説明してください。

また家族としては、選挙戦や当選後、落選した場合の金銭面も心配です。以下の点について、家族に納得してもらえるように話してみましょう。

  • 選挙にどの程度の費用がかかるのか
  • 当選後、どの程度の報酬が得られるのか
  • 落選した場合の金銭面(生活費など)はどうなるのか
  • 選挙全体を通して金銭的に大丈夫なのか

家族を説得するには、「当選に向けてしっかりと準備ができていること」を具体的に伝える必要があります。準備については以下の項目について書き出し、確認しておきましょう。

  • 選挙を闘うにあたってどのような準備をしているのか
  • 応援してくれる友人・知人・団体はあるのか
  • 実際に当選する可能性はどれくらいあるのか
  • 今後どのようなスケジュールで活動していくのか

選挙にかかる費用やスケジュールについては、本サイトでも解説をしていきますのでご活用ください 。

5.【危機管理】健康面や体力の不安・スキャンダルのリスクについて

選挙は過酷な闘いであり、勝ち抜くには体力が必要です。また当選した後も、政治家の健康問題は進退につながります。特に、過去に大きなケガや病気を経験している場合や持病がある場合は、体調に万全を期してください。障害のある方は、活動を行うために必要なサポート体制の構築について考えておきましょう。

また、恋愛関係や金銭面(現職の方は政務活動費を含む)のスキャンダルについても、胸に手を当てて考えてみてください。
政治家になるということは公人になるということです。日本では「公共の利益を守るためであれば、公人のプライバシーは公表されてもやむを得ない」とする考え方が主流です。
残念ながら、政治の世界では足の引っ張り合いが頻繁に行われています。状況によってはあら探しをされてしまうケースもあるでしょう。

最近は、地方議員のスキャンダルも週刊誌などに大きく取り上げられる傾向があります。もしもスキャンダルのリスクがある場合は、事前に弁護士や選挙プランナーなどの専門家に相談し、対策を立てた上で立候補を決断することをおすすめします。

6.【スケジュール】告示日から逆算して予定を立てよう

選挙のスケジュールについてもしっかりと確認しておくことが必要です。投票日までにどれだけの日数活動できるかは、選挙の当落を大きく左右します。仕事関係の整理や周囲の説得などが終わり、選挙に集中できるのはいつになるのか、そこから告示日まで何日あるのかを確認しましょう。

会社勤めを辞めて立候補しようとしている場合は、まず会社の「就業規則」や「退職金規程」を確認してください。もし選挙に立候補するための長期休職が認められてる場合は、制度の活用をおすすめします。

会社を退職して立候補する場合、退職金をそのまま選挙資金にあてようと考えている人もいるでしょう。ですが、辞め方によっては退職金の金額が減ってしまうこともありますので注意が必要です。「就業規則」や「退職金規程」で、退職金や退職日、有給休暇などの規程を確認したうえで、退職の相談に臨みましょう。

会社勤めを辞めて立候補する場合は、できるだけ円満退職を心がけることも大切です。特に、選挙区に会社があったり社員に有権者がいるような場合は十分に気をつけましょう。後で悪い噂を流されてしまうと、選挙戦で不利になります。後任への引き継ぎや関係者へのあいさつなどは丁寧に行うなど、配慮が必要です。

なお、退職のあいさつにあたって対面で「選挙に立候補するために退職します」と伝えることは違反にはなりません。ただし「選挙に立候補するので私に一票入れてください(応援してください)」などの「働きかけ」をしてしまうと、事前運動の禁止に問われることがありますので注意しましょう。

7.【スタッフ】家族以外に二人三脚で選挙を闘ってくれる人を探そう

選挙戦を1人で闘い抜くことはできません。選挙の経験がない方でも結構ですので、家族以外にもフルタイムで、選挙が終わるまで手伝ってくれるスタッフを探しましょう。

スタッフを選ぶときにもっとも重視すべきは、信頼できるかどうかです。友人や知人、親族のほか、紹介なども念頭に、これまでの人間関係のツテを頼りましょう。

スタッフには以下のような能力が求められます。

  • 電話対応・来客対応が適切にできるか
  • 事務所で事務作業・雑用を頼めるか
  • パソコン・スマートフォンが活用できるか
  • 車の運転ができるか

一方、スタッフとして不適正なのはお金にだらしがない人です。選挙はお金が動きますので、お金にだらしがない人は絶対にNG です。付き合いの状況や過去の経験などから、不安な点がないかしっかりと判断しましょう。

「この人に頼みたい!」と思う人がいたら、三顧の礼で頼み込みましょう。選挙はいろいろな人に頼み込んで、迷惑をかけながら行うものです。有権者に投票を依頼する前に、家族や友人、知人などから仲間を増やしていきましょう。

ちなみにスタッフは、候補者と二人三脚で熱心に活動してくれる人が3人いれば闘えます。もちろん多いに越したことはありませんが、少ない人数でも熱心に活動してくれるスタッフがいれば十分闘えるのです。

例えば人口10 万人程度の自治体の市議会議員選挙では、10 人以内のスタッフで選挙戦を闘い当選している方も多くいます。スタッフの人数が少ないのであれば、その分スケジュールをしっかりと立てて活動しましょう。早くから活動量を増やし、やるべきことをやりきれば当選は可能です。

もしも、応援してくれる人が1人もいない、頼める先もないということであれば、そもそも立候補を考え直したほうがよいでしょう。

8.【人脈】選挙区内に人脈がどの程度あるのか整理しよう

選挙活動を始めるにあたっては、これまで少しでも自分と接触があった人や共通項のある人からたどっていくのが基本です。以下のような観点から、【プロフィール】で挙げた内容を参考に書き出してみましょう。

  • 親類縁者・同窓生はいるか
  • 仕事・自治会・PTA 活動・子育てサークルなどによる人脈があるか
  • 年賀状のやり取りをしている人がいるか
  • 電話帳・Facebookの「友達」がいるか

こうした何かしらの共通項がある人達は、応援してくれる可能性が高いといえます。さらに、卒業アルバムや同窓会名簿、役員名簿などの名簿も参考にして人脈を広げます。配偶者や家族、熱心に応援してくれる支持者やスタッフにも名簿を出してもらえるよう依頼してみましょう。

9.【組織・団体】応援してくれる組織や団体がないか考えてみよう

地元地区や政党、労働組合などの団体から推薦を得られる可能性があるのか、または積極的に推薦を取りに行くべきかどうかも考えてみましょう。
地方議会議員選挙の中には、現職のほとんどが地元自治会の推薦を受けているような場合もあります。もし地元に現職がいる場合はそういった情報も調べてみましょう。

組織の支援を受けることは、人手や資金、選挙の経験値不足を補う上で大きなメリットがあります。一方で、政策協定を結ばなければならなかったり、組織の方針に従う必要があったりするなど、当選後の活動に一定の制限がかかることも否めません。

特に政党の公認や推薦を受けるかどうかは、選挙の闘い方や政治家としての在り方そのものを大きく左右しますので、慎重な判断が必要です。

くわしくは「第3章 政党の公認や推薦について」をご覧ください。

なお過去には、組織・団体の推薦を一切受けずに当選された方も多くいます。完全無所属で自分の思う通りに選挙を闘いたい、当選した後も自由に活動をしたいという場合は、組織・団体推薦を受けないことも選択肢の一つです。

10.【予算】選挙戦にいくら使えるのか、自分で設定しよう

選挙戦を闘うには供託金のほか、事務所の家賃や印刷費、人件費などの費用が必要になります。あらかじめ選挙戦の予算を設定しておきましょう。
予算を決めずに選挙活動を始めると、後から「あれも、これも」となって費用が積み上がることもあります。選挙が終わった後に「支払いができない……」といったトラブルになるケースもありますので注意しましょう。

会社を退職して立候補する場合は、選挙戦が終わるまでの生活費も必要です。生活費とは別に、貯金や退職金、借入などでどれくらいの選挙資金が用意できるのかを考えて、予算を決めましょう。

「第1章 選挙にかかる費用」では選挙で何にお金が必要なのかはある程度イメージできると思います。

選挙に立候補するには十分な準備が必要!

本記事で紹介してきた通り、選挙に立候補する前に確認しておくべきは以下の10項目です。

  1. 【動機】なぜ立候補するのか
  2. 【ビジョン】実現したい政策・政治、解決したい課題は何か
  3. 【プロフィール】これまでの人生を振り返ってまとめよう
  4. 【家族の説得】配偶者・両親・きょうだい・子どもたちをまず説得しよう
  5. 【危機管理】健康面や体力の不安、スキャンダルのリスクについて
  6. 【スケジュール】告示日から逆算して予定を立てよう
  7. 【スタッフ】家族以外に二人三脚で選挙を闘ってくれる人を探そう
  8. 【人脈】選挙区内に人脈がどの程度あるのか整理しよう
  9. 【組織・団体】応援してくれる組織や団体がないか考えてみよう
  10. 【予算】選挙戦にいくら使えるのか、自分で設定しよう

選挙選を闘い抜くには、精神的・体力的・金銭的などあらゆる面で負担がかかります。この負担を少しでも軽減しつつ当選に向けて動き出すためには、十分な準備が必要です。本記事でお伝えした内容をしっかりと確認し、万全の備えをおこないましょう。

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