選挙必勝バイブル

選挙事務所の役割分担|選挙運動に専念するためには事前の準備がカギ

  • 2023.02.10

初めて立候補される方の場合は、候補者本人とそのご家族などを中心に、これまでの活動を非常に少ない人数で行ってきた方も多いと思います。

選挙の現場では「本人事務局長」と呼称しますが、候補者が事務も含めて全てを仕切る場合もあります。

しかし本来、候補者の仕事は一人でも多くの有権者に直接会って政策や熱意を伝え、一票をお願いすることです。

選挙期間中は、できるだけ立候補者本人が選挙運動に集中できるよう、事務所内で役割分担は事前に行いましょう。

本記事では、選挙事務所の役割分担を紹介します。

記事の最後に組織役割表も記載していますのでぜひ活用してください。

※本記事は、選挙プランナー松田馨氏の著書『地方選挙必勝の手引(増補改訂版)』(2022年9月30日発刊)の内容を、許可を得たうえで使用・引用しております。

事務局長(事務所長・総括責任者)|選挙運動の責任者

事務局長は、選挙運動の実質的な責任者であり、選挙事務所に常駐して指揮を執る役職です。

「事務所長」や「総括責任者」と呼ばれることもあります。

一般的には選挙の経験があり、実務にもある程度明るい方についてただくことが多いのですが、なかなかそういった方はいらっしゃいません。

選挙経験がなくても良いので、候補者が信頼できる人物にお願いしましょう。

事務局長は事務所の全体を見渡して指示を出していくことになりますので、周囲への気遣いができる方が望ましいです。

事務局長には業務が集中しがちなので、「事務局次長」などの役職をつくって補佐をつける場合もあります。

【事務局長の役割例】

  • 事務所の全体把握 
  • 事務員やスタッフへの指示 
  • スケジュールの管理
  • 日々の活動の管理と改善 
  • 各部署(役割担当者)との連絡調整
  • 推薦団体・企業との調整

街宣担当|街頭宣伝活動の責任者

街宣担当は、選挙期間中の街頭宣伝活動の責任者です。

選挙期間中のスケジュールや選挙カーの運行ルートの作成と管理、車上運動員のシフト作りなどを行います。

【街宣担当の役割例】

  • 選挙期間中のスケジュールの作成 
  • 選挙カー運行ルートの作成
  • 車上運動員(ウグイス嬢やカラスボーイ)のシフト管理 
  • たすきやのぼりの管理
  • 7つ道具(場合によっては、5つ道具)の管理(❶選挙運動用自動車 ❷船舶表示板 ❸選挙運動用拡声機表示板 ❹自動車 ❺船舶乗車船用腕章 ❻街頭演説用腕章 ❼街頭演説用標旗)

総務担当|幅広い役割を担うオールラウンダー

総務の仕事も多岐にわたります。

一番重要な仕事は、告示日に立候補届出書類を無事に提出することです。

選挙期間中は寄附の管理や弁当の手配なども担当するため、「出納責任者」が兼務する場合もあります。

【総務担当の役割例】

  • 立候補の届出 
  • 事務所の什器などの手配 
  • 電話作戦用の電話機の手配 
  • 弁当の手配
  • 選挙ポスター貼りの段取り 
  • 選挙運動用ビラへの証紙貼りの指示 
  • 受付 
  • 来客対応(お茶出し) 
  • 電話対応 
  • ボランティア対応 
  • 陣中見舞いや寄附の管理

広報担当|広報活動全般の責任者

広報担当は、選挙期間中に活用するPRグッズ(ポスター・ビラ・はがき・看板類)の管理やネット選挙運動など、広報活動全般の責任者です。

最近はネット選挙運動が多岐にわたるため、ネット選挙運動の担当者は別で配置する場合もあります。

【広報担当の役割例】

  • 選挙運動用PRグッズの手配と段取り 
  • 選挙はがきの枚数管理と発送手続き
  • 選挙運動用ビラの新聞折込の手配 
  • ネット選挙運動全般

電話作戦担当|電話作戦の責任者

電話作戦担当とは、その名のとおり電話作戦の責任者です。

電話かけの原稿作成から従事してくれるボランティアの手配、電話をかける先の名簿管理、反応の集計なども担当します。

【電話作戦担当の役割例】

  • 電話かけのスクリプト(台本)の作成 
  • ボランティアの手配 
  • 名簿管理 
  • 反応の集計

集会担当|集会全般の責任者

集会担当は、出陣式や応援弁士を呼んでの街頭演説、個人演説会などの集会全般の責任者です。

個人演説会を毎日開催する場合は、各演説会場の予約や毎回の設営と撤収なども行います。

【集会担当の役割例】

  • 各種集会の式次第作成 
  • 各種集会の応援弁士の手配
  • 各種集会の設営と撤収の段取り

選対本部長|スタッフの重しとして重要な存在

選対本部長は、実際に選挙を仕切るというよりもスタッフへの重しとしての役割が大きく、ご年配の方になっていただくのが一般的です。

象徴的な役職ですので、地域によっては「あの人が選対本部長に就任したのか」と話題になり、注目されることもあります。

元議員や元自治会長など、選挙区内に一定の知名度がある方や顔が利く方にお願いすることが多いです。

中には、学生時代の恩師にお願いしたり後援会長に兼務したりしていただく場合もあります。

適任者がいなければあえて選対本部長は置かず、事務局長を中心に役割分担を行えば問題ありません。

【選対本部長の役割例】

  • 事務所の重しとしての役割を担う
  • 出陣式、演説会などでの応援演説 
  • 来客対応

配偶者や家族は「選挙を手伝って当然」ではない!

選挙の現場では「候補者の配偶者や家族は選挙を手伝って当然」という風潮もありますが、私はそうは思いません。

候補者が家族のサポートを受けられるかどうかは、気持ちの問題だけでなくそれぞれの事情もあると思います。

中には、立候補を決めた候補者に振り回されて迷惑をしている場合もあります。

候補者の方は、配偶者や家族に対しても「手伝ってもらえたら有り難い」という意識で接するようにしましょう。

例えば、家事や育児・介護全般など日常生活の部分をサポートしてもらえるだけでも、大きな支援だと考えるべきです。

その上で、配偶者やご家族の方にお手伝いいただける場合は、事務所内にて来客対応や電話かけをしていただくと効果的です。

また、候補者には言い辛いことを配偶者やご家族の方には伝えてくる支持者の方もいらっしゃいますので、聞き役に徹してもらいましょう。

配偶者やご家族が事務所に常駐していないと、支持者から不満の声が出ることもあります。

そうした場合によくある方便としては「(候補者の)両親の介護をしてもらっている」「仕事の関係でどうしても表に出られないが、自宅で電話かけをしてくれている」などで対応しましょう。

【配偶者や家族の役割例】

  • 支持者の愚痴聞き 
  • 来客対応 
  • 電話かけ 
  • 候補者の体調管理
  • 候補者が運動に集中できるよう家事育児や日常生活のサポート

役割分担表を作成しよう

事務所内で誰がどのような役割を担うのかを決めたら、以下のような役割分担表を作成しておくことをおすすめします。

役割の詳細を決めておくと、もしもトラブルが生じたとしても対応しやすくなりますし、何と言っても立候補者が選挙活動に専念しやすくなるでしょう。

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