選挙必勝バイブル

選挙運動費用収支報告書の記載方法|添付書類や保存期間も要チェック

  • 2023.02.10

投票が終わり結果が出た後も、ゆっくりするわけにはいきません。

選挙期日から15日以内に「選挙運動費用収支報告書」を作成し、選挙管理委員会に提出する必要があるからです。

収支報告書の作成は、会計帳簿を正しくつけていればそれほど難しいものではありません。

とはいえ、収支報告書には記載ルールがありますので、そのルールに沿って作成することが必要です。

そこで本記事では、選挙運動費用収支報告書の記載方法や添付書類、保存期間について解説します。

加えて、選挙運動に関していただいた寄附に対する優遇措置についてもお伝えします。

寄附者の意向に沿う対応をするためにも、本記事をお役立てください。

※本記事は、選挙プランナー松田馨氏の著書『地方選挙必勝の手引(増補改訂版)』(2022年9月30日発刊)の内容を、許可を得たうえで使用・引用しております。

選挙運動費用収支報告書に記載する方法

選挙が終わったら、選挙運動期間中に記載していた会計帳簿の内容を、選挙運動費用収支報告書に転記していきます。

おおむね会計帳簿と同じような記載になりますが、収支報告書ならではの記載ルールもありますので知っておきましょう。

ここからは選挙運動費用収支報告書に記載する方法について、「収入の部」と「支出の部」にわけて解説します。

収入の部の記載方法

収入の部の記載方法は以下のとおりです。

  • 1万円を超える(1万1円以上の)収入:1件ごとに記載
  • 1万円以下の収入:その種別ごとに、各収入日における合計額を一覧に記載

ただし寄附については、1万円以下の金額であっても、1件ごとに記載して構いません。

なお、「町内一同」「有志一同」のような名義での寄附は認められませんので、必ず個人名義で一人ずつ記載するようにしてください。

原則的に飲食物の提供はできませんが、湯茶及びこれにともない通常用いられる程度の茶菓は認められています。

陣中見舞いとしてこれらの提供を受けた際には、時価に見積もった金額を寄附として記載し、同時に支出の部にも記載しておきましょう。

【収入の部のポイント】
  • 1万円を超える(1万1円以上の)収入は1件ごとに記載
  • 1万円以下の収入は、その種別ごとに各収入日における合計額を一覧に記載
  • 寄附については1万円以下の金額でも、1件ごとに記載してよい
  • 「町内一同」「有志一同」のような名義での寄附は認められない。個人名義で一人ずつ記載すること

支出の部の記載方法

選挙運動費用収支報告書の支出の部には、会計帳簿の10費目をそのまま転記します。

それに加え、下の表のような支出の総額表も添付しましょう。

1回目に提出する収支報告書は、「今回計」と「総額」の欄に記載します。

2回目以降、回を重ねて収支報告書を提出する場合は、前回の総額を「前回計」の欄に記載します。

【支出の部のポイント】
  • 支出簿の10費目をそのまま転記する
  • 支出の総額表も作成する

選挙運動費用収支報告書に添付する書類と提出方法

全ての支出について、必ず領収書等の支出を証明する書面の写しを作成し、収支報告書に添えて提出する必要があります。

領収書は支出費目ごとに分けて月日順に整理し、A4コピー用紙などに写したものを提出します。

原本は保管してください。

また、金融機関への振込による支出の際、相手から領収書を得られなかった場合は、支出の目的が記載された振込明細書の写しを、領収書と同じように提出できます。

出納責任者が明細書の余白に支出の目的を記載した場合も同様です。

なお、それ以外で通常領収書が発行されない場合や、労務の無償提供を受けた場合などについては、「領収書等を徴し難い事情があった支出の明細書」という様式に、支出費目及び月日順に記載して提出することが必要です。

また収支報告書には、真実の記載がなされていることを誓う旨の「宣誓書」を添付する必要があります。

宣誓書は、立候補届出時に選挙管理委員会から渡される様式集に含まれていますので、年月日及び出納責任者の住所・氏名を記載して押印しておきましょう。

【添付書類のポイント】
  • 全ての支出については、必ず領収書等の支出を証明する書面の写しを作成し、収支報告書に添えて提出する
  • 領収書は支出費目ごとに整理し、複写して提出
  • 明細書及び領収書その他の支出を証明する書面は3年間保存しなければならない

選挙運動に関する寄附には優遇措置がある!条件や手続きは?

個人が行う選挙運動に関する寄附については、寄附金控除の対象となることがあります。

ただし、寄附金控除の対象となるのは、都道府県知事選挙・都道府県議会議員選挙・政令指定都市の市長選挙・政令指定都市の市議会議員選挙のみです。

控除対象となるには、対象となる選挙の選挙運動に関する寄附であること以外に、下記2点の要件を満たす必要があります。

  1. 選挙運動費用収支報告書に、寄附の内訳として寄附をした者の氏名・住所・職業・寄附の金額・年月日を記載して報告されている場合
  2. 政治資金規正法に定める、個人がする寄附の総枠制限(政党及び政治資金団体以外の政治団体ならびに候補者に対するものは、年間合計1,000万円まで)と、同一の者に寄附する際の個別制限(年間150万円まで)を超えない場合

この要件を満たす寄附者は、優遇措置として寄附金控除を受けられます。

控除の手続きは収支報告書の提出と同時に行うため、控除を受けるかどうか事前に寄附者に確認しておきましょう。

寄附者に優遇措置を受ける意思がある場合、収支報告書と合わせて「寄附金控除のための書類」を2部ずつ添付し、選挙管理委員会に提出します。

選挙管理委員会の確認印が押された「寄附金控除のための書類」が返還されたら、速やかに寄附者に交付してください。

寄附者はこの書類を持って税務署に確定申告を行うことで、寄附金控除を受けられます。

ただし、税務署が「寄附者に特別の利益が及ぶ」と判断する場合には、控除の対象から除かれてしまうこともあります。

選挙運動費用収支報告書の保存期間は3年

無事、提出・受理された選挙運動費用収支報告書は、選挙管理委員会において3年間保存され、保存期間内なら誰でも報告書を閲覧することが可能です。

ただし、閲覧できるのは収支報告書のみ。

「添付の領収書類の写し」と「領収書等を徴し難い事情があった支出の明細書」は閲覧できません。

また出納責任者にも、会計帳簿、明細書及び領収書その他の支出を証明する書面を、収支報告書提出の日から3年間保存することが義務付けられています。

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