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確認団体の基礎知識|確認団体を活用するかどうかが当落に影響する!

  • 2023.07.24

多くの首長選挙で活用されているのが「確認団体」です。

確認団体とは、特定の候補者を支援しない主義主張団体のことを言います。

活用できる選挙やできることが限られているため、事前にしっかりと理解する必要はありますが、大きなメリットを感じられる制度でもありますので、ぜひ活用を検討してみてはいかがでしょうか。

本記事では、確認団体を設立する際の注意点や確認団体に認められている政治活動などをお伝えします。

記事後半で紹介する監理団体を活用するポイントについても、ぜひご確認ください。

※本記事は、選挙プランナー松田馨氏の著書『地方選挙必勝の手引(増補改訂版)』(2022年9月30日発刊)の内容を、許可を得たうえで使用・引用しております。

確認団体は「政治上の主義を目的とする政治団体」

確認団体とは、公職選挙法に定められた所定の要件を満たし、選挙が告示されてから選管に届け出をして「確認書」の交付を受けた主義主張団体を指します。

主義主張団体というのは、政治団体の設立目的が、純粋に政治上の主義もしくは施策を推薦することなどを目的とする団体のことです。

特定の候補を支援する目的で設立された「後援団体」とは規約が異なり、区別されます。

本章では、確認団体を活用できる選挙や特徴について紹介します。

確認団体を活用できる選挙

確認団体には、選挙期間中に特定の候補者を支援する一部の政治活動が認められており、都道府県知事選挙をはじめ首長選挙で活用されています。

ただし、首長選挙といっても町村長の選挙では活用できません。

それぞれの選挙において確認団体を活用できるのかどうかを下の表にまとめましたので、ご確認ください。

上の表からも分かるとおり、都道府県の議会議員選挙や政令指定都市の議会議員選挙でも、確認団体の活用ができます。

例えば、「政党の公認や推薦は得たほうが有利?メリット・デメリットなどを解説」でご紹介した「地域政党」は、京都市や東京都の議会議員の選挙において、所属候補者を3人以上擁立して確認団体の届出をしている政治団体です。

ただし、議会議員の選挙における確認団体の活用については、条件などが複雑なため本記事では割愛させていただきます。

確認団体は選挙期間中も政治活動ができる

公職選挙法で禁止されている行為とは?政治活動における規制も解説」でご説明したように、選挙期間中は政党・その他の政治団体の政治活動には一定の制限がかけられます。

政治活動は原則として自由ですが、選挙期間中については候補者の選挙運動が優先され、候補者のみに認められた選挙運動である連呼行為や、氏名類推事項が記載された印刷物については制限されるのです。

確認団体になると、一定の規制のもとに所属候補者を支援する政治活動ができるようになります。

候補者と確認団体がそれぞれ活動できるので、活動量が大きく増えます。

これは国政選挙における「候補者と政党の関係」をイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。

つまり、確認団体制度を理解し、活用できるかどうかは当落に大きく影響するのです。

確認団体を設立する際の注意点

選挙で確認団体を活用するなら、後援会・資金管理団体とは別に、確認団体となる政治団体を設立しておく必要があります。

例えば「◯◯市を良くする会」などです。

過去の例では「初の女性都知事を実現させる都民の会」「若手市長を誕生させる会」「チーム◯◯(自治体名)」などの団体名が活用されたケースもあります。

団体名に候補者名を入れることはできませんのでご注意ください。

団体設立を届け出る際、規約を確認することが重要です。

後援会の届出においては、「目的」について「本会は、勝田とおる氏の政治活動を後援することにより……」など特定の候補者名が入っています。

一方、確認団体の場合、特定の候補者を支援する目的は認められません。

「◯◯市を良くすることを目指し……」といったように、主義や主張を書き込むようにしてください。

確認団体に認められたおもな政治活動

確認団体になることで、選挙期間中にさまざまな活動を行うことができます。

ここからは、確認団体に認められた政治活動のうち、代表的なものを紹介します。

政治活動用ビラの頒布

枚数制限なし
規格サイズの制限なし
2種類以内
記載内容確認団体の名称・選挙の種類・届出ビラであることの記載が必須例)「◯◯市を良くする会 ◯◯市長選挙 届出ビラ1号」
推薦する候補者の選挙運動のために使用できる例)「当会の推薦する◯◯歳の候補者へ一票を」「初の女性市長誕生へ!」「30代の市長をあなたの一票で誕生させよう!」
候補者のシルエットや似顔絵ではないイラストなどを掲載できる
頒布方法駅頭での配布やポスティングなど、基本的に自由に配布できる(候補者の街頭演説の周辺でなくても可能)
ポスティング業者への依頼も可能
新聞折込も可能

禁止事項
候補者の氏名・氏名類推事項(顔写真・似顔絵)は掲載できない
国や地方公共団体が所有・管理する建物内では配布できない
備考選挙運動にわたることができるため、候補者が特定されるようなメッセージを入れても問題なし
似顔絵ではないため、候補者のシルエットも認められる

政治活動用ポスターの掲示

枚数市長区長選挙:1,000枚以内
都道府県知事選挙:衆院選小選挙区ごとに500枚
規格85cm×60cm以内(A1サイズで印刷するのが一般的)
種類制限はなし
記載内容確認団体の名称・掲示責任者の氏名と住所・印刷者の氏名と住所の記載が必須
推薦する候補者の選挙運動のために使用できる例)「当会の推薦する◯◯歳の候補者へ一票を」「初の女性市長誕生へ!」「30代の市長をあなたの一票で誕生させよう!」
候補者のシルエットや似顔絵ではないイラストなどを掲載できる
掲示場所選挙事務所・演説会場内など
承諾を得た一般の民家の壁など
選挙カーや確認団体の街宣車はもちろん、一般の有権者が所有する車にも掲示できる

禁止事項
候補者の氏名・氏名類推事項(顔写真・似顔絵)は掲載できない
国や地方公共団体が所有・管理する建物内では配布できない
備考選挙運動にわたることができるため、候補者が特定されるようなメッセージを入れても問題なし
似顔絵ではないため、候補者のシルエットも認められる
投票日当日も掲示できる
選管から交付される「証紙」を貼っていないものは掲示できない

確認団体の政治活動用自動車

台数1台
拡声機の数に制限はなし
規格【車種の制限】なし
【看板の規定】なし
【提灯の規定】なし
記載内容政治団体名や選挙運動にわたらないキャッチフレーズ・イラストなど
街頭宣伝朝8時から夜20時まで
政治活動の範囲内で(政策宣伝など)
停車しての街頭政談演説は、演説の一部が候補者の選挙運動にわたることも可能

禁止事項
候補者の氏名、氏名類推事項(顔写真、似顔絵)は掲載できない
選挙運動にわたることはできない
走行中のアナウンスでは選挙運動にわたることはできない
個人演説会の告知はできない
備考選管が交付する「政治活動用自動車」の表示物を必ず掲示すること
停車しての街頭政談演説であれば選挙運動にわたることが認められているため、できるだけスポット演説を繰り返すと効果的

確認団体に認められたその他の活動

他にも、確認団体には以下のような活動が認められています。

  • 政談演説会の開催
  • 政談演説会の告知用看板
  • 政治団体が発行する機関紙

しかし、このような活動を実施することはほとんどありません。

その理由は以下の3つです。

  • 候補者の個人演説会があるため、政談演説会を開く必要性が少ないから
  • 立て札・看板の類には候補者の氏名や氏名類推事項が記載できないため、効果が期待できないから
  • 機関紙を活用するには半年以上前から継続的に発行していなければならないず、活用しにくいから

活用する機会は少ないのが現実ですが、このような活動ができることについては頭に入れておくと良いでしょう。

確認団体を活用するポイント

確認団体を設立する最大のメリットは、ビラとポスターの活用です。

どちらも候補者の氏名及び氏名類推事項の記載はできませんが、選挙運動にわたる表現ができます。

候補者を連想できるキャッチフレーズや、シルエットなどを活用するなど知恵をしぼりましょう。

ちなみに私の経験上、確認団体のビラとポスターについては事前審査でトラブルになることが多々あります。

選管の担当職員の方が、選挙運動にわたることができるのを理解していない場合があるからです。

事前審査でこの点を注意された場合は、引き下がることなく「氏名類推事項の記載が禁止されているだけで、選挙運動にわたることは問題ないはずだ」と主張してください。

ビラは頒布方法の制限がほとんどなく、新聞折込だけでなく駅頭での配布やポスティングも可能です。

証紙ビラと違って枚数制限もありませんので、特に人口の多い自治体の首長選挙では重宝します。

ポスターについては、政治活動期間中に掲示した演説会告知用ポスター(連名ポスター)と貼り替えるのが一般的です。

掲示場所の確保が難しい場合は、例えば支援者の方の車にも掲示できますので、車の利用が多い地域ではぜひ活用してください。

また、確認団体であれば選挙期間中に有料のネット広告を出すこともできます。

広告文に候補者の氏名及び氏名類推事項を記載することはできませんが、広告のリンク先のページでは選挙運動を行うこともできますので、都市部の選挙では活用を検討してみてください。

【確認団体を活用する際のポイントまとめ】

  • 確認団体のビラとポスターは選挙運動にわたる表現ができる
  • 候補者につながるシルエットやキャッチフレーズの工夫を
  • 確認団体のビラは誰でも自由に配布が可能で枚数制限もなし
  • 確認団体のポスターは連名ポスターの貼り替え用として活用を
  • 確認団体は選挙期間中に有料ネット広告を出すこともできる

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