選挙運動期間中は、名前入りのたすきを身に着けて街頭に立ち、有権者に候補者の声を直接届けることができます。
名前を覚えてもらうことや良い印象を持ってもらうことが、街頭演説の大きな目的です。
そこで本記事では、街頭演説の心得や注意点の他、有権者の心に響く街頭演説のポイントなどを解説します。
街頭演説を一票につなげるための参考にしてみてください。
※本記事は、選挙プランナー松田馨氏の著書『地方選挙必勝の手引(増補改訂版)』(2022年9月30日発刊)の内容を、許可を得たうえで使用・引用しております。
街頭演説を行う際の心得と注意点
選挙運動期間中には、政治活動期間とは異なり、名前入りのたすきをかけて投票を依頼できます。
これまでと同様に、1対1で訴える意識を持ちましょう。
公職選挙法の規定により、7つ道具のひとつ、「街頭演説用標記」を掲示した上で演説を行わなければなりませんのでご注意ください。
また、街頭演説に従事するスタッフには「街頭演説用腕章」の装着を忘れないようにしましょう。
「自動車・船舶乗車船用腕章」を装着した車上運動員も街頭演説に従事することが可能です。
駅頭や商店街、繁華街などの人の多い場所や、団地や住宅、アパート、マンションなどに向かって行うのも効果的です。
長時間の演説は関心のない層からすれば騒音になるため、逆効果になるおそれがあります。
長くても5分程度でまとめ、数を多くこなしましょう。
街頭演説では意識的に名前を挟もう!導入におすすめの話題は?
一番大切なのは、有権者にあなたの名前を刷り込むことです。
特に人通りの激しい駅前や商店街などでは短時間でも耳に残るように、演説の中に名前を度々挟むよう意識してください。
「私、勝田とおるは」というように話の合間に名前を入れて、少しでも有権者の記憶に残るようにしましょう。
その地域の課題や歴史、特産品などの情報も把握して、演説内容に組み込めれば効果的です。
反対に、農村地域で漁業振興の話をするなど地域に関係の薄い話をしても、有権者の心には響きません。
導入部におすすめの話題は以下のようなものです。
- 時事ネタ
- スポーツやバラエティの情報ネタ
- ワイドショーが取り上げていることなどに絡めた話題
このような話題を導入部に持ってくることで聴衆の共感を引き出すというテクニックも有効でしょう。
声の出し方や抑揚を意識することで、より印象に残る演説にできます。
これはテキストでは伝えづらいのですが、例えば名前を言うときに「勝田とおるです」と名前と苗字の間に一切間を置かない場合と、「勝田 とおるです」と名前と名字の間に一拍の間を置いた場合では、耳に残る印象が大きく変わってきます。
自分の名前で練習してみてください。
また、演説を聞き苦しく感じさせてしまうのが「えー」や「あー」などの余計な言葉です。
人前で話すことに慣れていないと、話のつなぎや何を話すかを考えている間に余計な言葉を発してしまいがちです。
これはとても自信のない印象を与えてしまい、選挙の演説としてはマイナスになってしまいます。
こうした余計な言葉を発言しないためには、できるだけ文章を短く切るのが効果的です。
以下に例文を表示します。
スペースの空いている部分は間をとる部分です。
あなたの名前を入れて読んでみてください。
【NG例】
大きな音量で失礼しますが、えー私は、今回の市議会議員選挙に立候補をしております【 】と申しまして、えー今回の市議会議員選挙におきまして、私が、あー、訴えております政策は、この街の人口流出について○○という政策を考えておりますので、あー、ぜひ皆様の一票を託していただきますように、お願いを申し上げたいと思います。
【OK例】
大きな音量で失礼します。市議会議員候補の 【 】と申します。今回の市議会議員選挙 私は このまちの人口流出をなんとしても止めたい!そのために ○○ という政策を掲げております。 あなたの一票を 私 【 】に託していただきたい。 心から お願い申し上げます。
このように文章を短く切り、間を意識することでとても聞きやすい演説となります。
他にも、
- 演説の内容を毎日変える
- 同じ場所で同じ話をしない
- そこに暮らす人にとって重要な地域の課題は必ず取り上げる
などに留意してください。
さらに以下のように話すと良い印象となります。
- 笑顔で話をする
- 語尾をはっきりと
- 最後のお願いなどフィニッシュの部分は、力強く大きな声を出して勢いをつけるようにする
場所にもよりますが、街頭演説は基本的に1分~3分、長くても5分程度です。
また地域によって状況が異なるでしょうが、1日50か所以上で街頭演説をする方もいらっしゃいます。
人通りが途切れないなどの理由からその場に10分以上留まるようであれば、ウグイス嬢による候補者紹介の前振りや応援弁士などを用意して、メリハリをつけることも大切です。
雨の日に街頭演説をする場合の注意点
雨の日は、スピーカーのボリュームを少し大きくする必要があります。
雨に音が吸われてしまったり車や家の窓も締め切ったりすることで、音が届きにくくなってしまうからです。
ただし、学校・病院・診療所・療養施設の周辺では、静穏を保持するように努めることが義務付けられていますのでご注意ください。
また、雨の日でも人が集まっている場所を回るなど、ルートの見直しをしましょう。
アーケードのある商店街などでは、ビラ配りもしやすくなります。
雨の中で演説をする場合は、演出としてあえて傘をささずにやる方もいらっしゃいますが、特に選挙戦序盤は体調管理が大切ですのでおすすめしません。
スタッフに傘をさしてもらうようにしましょう。
雨で濡れたビラは受け取ってもらえませんし、印象が悪くなります。
雨の日にビラ配りを行う場合は、場所もよく検討することが必要です。
また、街頭演説を終えたら周囲にビラが落ちていないかを確認し、落ちてたら必ず拾って帰るようにしてください。
あなたの顔写真の印刷されたビラが路上に捨てられ、踏まれているようなことがないように注意しましょう。
【まとめ】街頭演説のポイント
- 街頭演説をする際は、7つ道具のひとつ、「街頭演説用標記」を掲げなければならない
- 街頭演説に従事できるのは腕章をつけた15人以内に限る(候補者は除く)
- 街頭演説に従事するスタッフは「自動車・船舶乗車船用腕章」か「街頭演説用腕章」をしていなければならない
- 街頭演説中は証紙ビラの配布ができる
- 同一場所での長時間にわたる演説や、移動しながら行う「流し演説」は禁止
- 録音データの使用も可能
- プロジェクターなど映写機の使用は不可
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