選挙運動期間に入ると、政治活動期間とは異なる活動ができるようになります。
一つひとつの活動を丁寧に積み重ねて、一票でも多く獲得しましょう。
本記事では、街頭宣伝活動や投票依頼の具体的な手段について解説します。
今までの政治活動を無駄にしないためにも、最後の最後まで油断しないで闘い抜きましょう。
※本記事は、選挙プランナー松田馨氏の著書『地方選挙必勝の手引(増補改訂版)』(2022年9月30日発刊)の内容を、許可を得たうえで使用・引用しております。
選挙カー|入念な準備と心得の共有が必要
選挙運動期間には選挙カーを使った活動ができます。
選挙カーを使うことによって以下のようなことが可能です。
- 名前を覚えてもらうこと
- 候補者に対する良いイメージを持ってもらうこと
選挙カーによる効果を得るためには、入念な準備が求められます。
例えば以下のようなことです。
- 準備物を管理するためのチェックリストを作成する
- 運転手や車上運動員のシフトを組む
- ポイントを押さえた運行ルートを作る
その他、車上運動員らが選挙カーに乗る際の心得を共有することも大切です。
「選挙カーは有権者へのアピールにも!運行方法や準備物は?運動員の心得も」では、選挙カーを走らせる時のルールや車上運動員のシフトの組み方、運行ルートの作り方、選挙カーの準備物などについて解説しています。
選挙カーの運行について詳しく知りたい方はぜひご確認ください。
街頭演説|聴衆の心に残る演説を心がけよう
選挙運動期間中の街頭演説では、政治活動期間中と異なり以下のようなことが認められています。
- 名前入りのたすきを身に着けられる
- 投票を依頼できる
街頭演説で自分の考えや政策を訴えることができれば、有権者の投票行動に大きな影響を与えると考えられます。
街頭演説では聴衆の心に残るような演説を行いましょう。
具体的には以下のような点に気をつけてみてください。
- 意識的に名前を挟む
- 有権者の心に響くような話題を選ぶ
- 「間」と「抑揚」を効果的に取り入れる
「街頭演説の注意点は?好印象を持たれるポイントや伝わる話し方のコツも」では、街頭演説の心得や注意点の他、有権者の心に響く街頭演説のポイントを解説しています。
街頭演説を一票につなげるために、参考にしていただけると幸いです。
個々面接|「人に会ったら投票依頼」の意識で
24 時間誰でも自由に行える選挙運動の一つが「個々面接」です。
ここでは、個々面接の具体的な内容や戸別訪問との違いについて解説します。
個々面接とは?できることとできないこと
個々面接とは以下のようなことを指します。
- 路上や店舗の中などでたまたま出会った人に投票を依頼すること
- 会社やお店などを訪問した際に選挙の話題になり、ついでに投票を依頼すること
- 商店やスーパーなどの店主や店員が、たまたま買い物に来たお客さんに対して投票を依頼すること
つまり、移動に際して駅でばったり出会った場合や、スーパーでの買い物中などのシーンで投票を依頼することに制限はないのです。
このことを支援者の皆さんにも伝え、選挙期間中に誰か知り合いに会ったらとにかく「◯◯◯へ一票入れて!」とお願いしてもらうようにしましょう。
他にも、候補者がたすきを着用したまま電車やバスなどに乗車し、その場で有権者の方に話しかけて握手をするなどの行為も可能です。
ただし、電車のホームや停留所での街頭演説やビラ配りはできません。
また電車やバスなどで移動する場合は、他の乗客の方々の迷惑にならないよう配慮しましょう。
個々面接と戸別訪問、違いは?
会社や個人宅などへの訪問時の投票依頼は、何かの「ついで」であることがポイントです。
投票を依頼する目的をもって会社や個人宅などを連続で計画的に訪問することは、「戸別訪問」として公職選挙法違反になるので注意が必要です。
個々面接のポイント
- 24時間自由に行える
- 人に会ったらとにかく投票依頼という意識付けを
- 路上や店舗の中だけでなく、電車やバスの中なども可能
- 店舗の店主や店員が客に対して行うことも可能
- 戸別訪問との違いに注意(ポイントは「目的」と「計画性」)
桃太郎|周囲からの印象を意識しよう
候補者が運動員を引き連れて繁華街を練り歩く「桃太郎」では、有権者と直接触れ合うことができます。
桃太郎は、人通りの多い商店街や繁華街で行います。
そのため周囲からの印象を意識し、整然と行うことが大切です。
同行するスタッフをマイク係・先導係・拡声器係・のぼり係などにわけ、効果的に進めましょう。
「選挙運動の「桃太郎」って?コツや注意点は?同行スタッフの役割分担も」では、桃太郎を効果的に行うポイントやスタッフの役割、桃太郎の時にできること・できないことについてまとめました。
桃太郎を効果的に行いたい方はぜひご一読ください。
駅立ち・辻立ち|政治活動期間に得た情報を活用すべし
選挙運動期間には政治活動期間に引き続き、駅立ちや辻立ちも積極的に行います。
選挙運動期間に入ると、政治活動期間にはできなかった以下の活動ができるようになります。
- 名前入りのたすきをかけて駅頭に立つこと
- 街頭演説をしながら証紙ビラを配布すること
- 投票の依頼がすること
政治活動期間に蓄積した情報をもとに効率良く運動しましょう。
「選挙運動期間の駅立ち・辻立ちでは何ができる?規定に即したアピールが必須」では、選挙運動期間中の駅立ち・辻立ちでできることや活動のポイントを解説しています。
また、夜20時以降は街頭演説や証紙ビラなどの配布ができないなど、注意すべきことについてもお伝えしています。
ルールを守った選挙運動を行うためにも確認しておきましょう。
個人演説会|電話・ネットなどで参加のお願いをしよう
個人演説会は、候補者の考えや政策をじっくりと聞いてもらえるチャンスです。
多くの有権者に演説を聞いてもらいたい場合は、1日に複数会場で開催するのも良いでしょう。
個人演説会に参加してもらうには、電話やネットを積極的に活用して参加を依頼することになります。
その他にも個人演説会を開催するには、日時や場所、伝える内容など多くのことを検討しなければなりません。
「個人演説会を票につなげるには?参加依頼・演説内容・アピール方法など」では、個人演説会を効果的なものにするための方法をわかりやすく解説しています。
個人演説階で候補者が訴えるべきことや、1日に複数会場で開催する場合の流れも記載していますので、個人演説会を開催したいと考えている方は参考にしてみてください。
幕間演説|個人演説会との違いに要注意
選挙とは別の目的でそこに居合わせた人を対象に行う演説を「幕間(まくま)演説」と言います。
よくあるのが、企業の朝礼や工場の休憩時間などに集まっている人を対象に行われるものです。
推薦企業・団体がある場合は、事前に選挙期間中の幕間演説を依頼し、朝礼・昼休憩・夕礼などの機会に候補者を呼んでいただけるようにお願いしましょう。
他にも、映画や演劇鑑賞などの幕間での演説や、町内会の寄り合いなどに集まった人たちに向けた演説も可能です。
幕間演説は、候補者だけではなく誰でも自由にできますので、支援者の方が自分が応援している候補者への投票依頼もできます。
あらかじめ候補者の演説がその場所で行われることを周知した場合は、幕間演説ではなく個人演説会となり、候補者しか開催できませんのでご注意ください。
選挙はがき|電話作戦や街宣活動と組み合わせると効果アップ
選挙運動期間中には選挙はがきを郵送します。
ここでは選挙はがきの目的や郵送のタイミングについてお話しましょう。
選挙はがきは「票固め」に使用するのがおすすめ
地方議会議員選挙では当選に必要な票数が少ないため、選挙はがきは基本的に「票固め」に使用することをおすすめします。
票固めとは、後援会員や集会の参加者など、これまで何らかの接触があった人たちに選挙はがきを送ることです。
後援会名簿の数だけだと法定枚数に届かない場合は、地方議会議員は地域代表としての側面があるので、地元地域の全世帯に郵送する方もいらっしゃいます。
法定枚数以上に宛名を書けた場合は、重複する宛先がないかのチェックをしましょう。
現場では「かるた取り」と言われますが、まず郵便番号順に並べ、次に宛名をチェックしていく流れで行います。
後援会幹部や事務所に頻繁に顔を出していただいているスタッフの方への郵送なども省きましょう。
選挙はがきを郵送するタイミング
近年は期日前投票の利用者数が増加していることから、選挙はがきを早めに郵送する陣営が増えています。
最短ですと、告示日の届出完了後すぐに持ち込むこともできます。
従来は、できるだけ投票日直前に届くように木曜日以降に持ち込むのが一般的でした。
期日前投票が増えているとはいえ、ほとんどの選挙で、投票者の6割以上は投票日当日に投票所へ足を運んでいますので、従来方式でもある程度有効だと考えられています。
ただし、選挙はがきは投票日の前日には必ず届いていなければなりません。
郵便局に問い合わせて、投票日の前日までに確実に届けるための最終締め切りを必ず確認しましょう。
選挙はがきのポイント
- 基本は「票固め」のための運用
- できれば重複チェックも丁寧に
- 郵送時期は「期日前狙い」で早めに出すか、「最後の一押し」で後半に出すか、はがきが届く時期を狙って電話かけや街頭宣伝活動を重ねると効果的
電話作戦|基本的なポイントを確実に押さえよう
有権者へ電話をかけて投票を依頼する電話作戦は、公職選挙法の制限を受けません。
支援者の方々の友人・知人に電話をかけていただいたり、名簿や電話帳をもとに事務所から電話をかけたりします。
電話作戦で大切なのは以下の3点です。
- 一度通じた番号に何度もかけない
- 電話の目的とコールする先を明確にしておく
- 電話のマニュアルと台本を用意する
いずれも基本的なポイントですが、現場の混乱の中では徹底することが難しい場合もあります。
「電話での投票依頼は票につながる?効果を上げるための3つのポイント」では、電話作戦の基本的なポイントやマニュアルの他、後援会名簿へ投票を依頼する際の台本サンプルもパターン別に紹介しています。
詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
支援者にお願いすると効果的な3つの活動
選挙運動期間中、街頭宣伝活動やネット選挙運動以外で、支援者の皆さんにお願いすると効果的な活動は以下の3つです。
- 期日前投票
- 電話での投票依頼
- 個々面接
一つずつ解説します。
❶ 期日前投票
告示日の翌日から期日前投票が可能です。
事務所に出入りをしていただいているスタッフや支援者の皆さんには、確実な一票を積み上げるために、必ず期日前投票で早めに投票を済ませていただくようにしましょう。
その際には、ご家族やご近所の方にも声をかけて、連れ立って期日前投票に行っていただけるとさらに効果的です。
❷ 電話での投票依頼
親戚や友人、知人に対して、支援者の方の携帯電話から直接電話で投票依頼をしていただきましょう。
事務所での固定電話による投票依頼よりも、知り合いから直接かかってくる投票依頼の方が効果的です。
❸ 個々面接
選挙運動期間中は24時間投票依頼が可能であることを説明し、「人に会ったら投票依頼を」とお願いしましょう。
知人への電話かけが終わった方には、普段買い物をしているスーパーや複合商業施設などに出かけていただき、そこで出会った知人らに投票依頼をしてもらうなども考えられます。
できるだけ有権者と一対一のやり取りをして、心を込めて投票依頼をすることが一票につながります。
最後まで油断しない!当選を手繰り寄せるのは「必死さ」
選挙運動期間が中盤から後半へ差し掛かってくると、さまざまな情報が飛び交います。
これまでしっかりと運動の質を高め、運動の量を増やしてきた陣営であれば手応えを感じ「当選できるのではないか」という甘い期待が見えてくる時期です。
この時期に最も注意しなければならないのは「当選確実キャンペーン」です。
対立候補の陣営から、
「勝田とおるさんは当選確実だから、当落線ぎりぎりの◯◯候補に投票してください」
「勝田とおるさんは当選確実だとマスコミが言っていたから、せめてあなたの家族の一票だけは◯◯候補に回してほしい」
などと言われて、あなたの票が奪われてしまうことがあります。
候補者や陣営の活動が緩んでいると、有権者は「当選確実だからあんなに余裕があるのだろう」と判断し、こうした言葉にのせられて他候補に票を入れてしまうかもしれません。
このようにして油断した瞬間に、当選は遠のいていくのです。
株式会社LIXILが以前に出していた広告に、
“そこまでやるか”を、どこまでやるか。それが、リクシルのものづくり。
株式会社LIXIL
というキャッチコピーがありました。
選挙運動もまさに、この言葉のとおりだと私は思います。
選挙は投票箱が閉まるまで、本当に何が起こるかわかりません。
私も恥ずかしながら、必勝の策を重ねて「勝てる」と思っていた選挙において僅差で敗北し、頭を丸めたことがあります。
他陣営が「そこまでやるか」と驚くような運動を、徹底して行えるかが当落を分けるのです。
もし落選したらこれまで積み重ねてきた活動が一旦は無駄になり、4 年間という長い長い浪人生活を過ごすことになるかもしれません。
落選をきっかけに政治の世界を諦める人もいるでしょう。
どうか最後の最後まで油断せず「絶対に当選する!」という強い意志を持って選挙運動をやり抜いてください。
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